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甲州のアロマ~富永博士について


甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2013です。
15年前、こんな素晴らしい甲州ワインができると想像できましたか?



富永敬俊さんという名前、日本のワイン好きの方ならご存じでしょう。

ワインについて永遠の素人であるKAYSでもこの名前が日本のワイン史上永遠に輝く名前であることは知っています。ぶどうの甲州種をワイン用の品種として世界に通用するものに育て上げた方の一人です。しかも、その化学分析を行い、甲州種からソーヴィニヨン・ブランに似た芳香の成分が含まれることを確認したという、大事な仕事を成された方です。

残念ながらその偉大な発見の直後に心筋梗塞でこの世を去ってしまいましたが、彼の偉業は永遠に残ることでしょう。

その富永さん、何度か雑誌や新聞記事などでは読んでいましたが、そのくわしい生涯についてはよく知りませんでした。知りたいなぁ…と思っていた矢先、KAYSのワインの師匠であるSさんが、一冊の本を貸してくださいました。いつもタイミングの良いS師匠。今回もまさにタイミングピッタリですから凄い!何か通じるものがある??

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甲州のアロマ~ボルドーでワインの香りに人生を捧げた富永敬俊」(王禅寺善明著、2009年、ヴィノテーク刊)という本です。

この本で初めて富永さんの人柄を知ることができました。若い頃の様々な趣味にのめり込む姿、一流のものにしか目が向かないという一徹さ、そして、ワインとの出逢いに、退路を考えずにフランスに渡った決断力、そしてフランスでの命を削るような研究姿勢。決してまっすぐに成功への路を歩んだ人ではないのですが、逆にそれ故に、途中での様々な経験が最終的に彼の大きな発見へとつながったということがよくわかる伝記となっています。

もちろんワイン好きの方にはたまらない様々な逸話がちりばめられています。

KAYS的には非常に興味深いかったのは「時代」、あるいは「シンクロにシティ」と言ってもいいかもしれません。それまで香りのない、ワインとしては美味しくない品種という「負」のイメージが強かった甲州種。その甲州にソーヴィニヨンブランに似た新たな香りが見つかる事件が続いたのが2000年過ぎ、相前後するんですね。以前このブログでも書いた勝沼醸造でその香りが発見されアルガブランカ・ヴィニャル・イセハラに結実したのが2001年ヴィンテージ。この時はまだその香りが生まれるメカニズムは分かっていなかったと言います。そしてメルシャンの研究室で同じ香りが発見されたのが2003年と、本当に数年の間に相前後して甲州から素晴らしい香りが見つかっていったというのがとても面白く感じられたんです。日本の醸造家の皆さんが本格的なワインの模索を真剣に続けた結果、相次いで甲州からチオール化合物3MH(3-メルカプト・ヘキサール)の香りが発見された(しかも本家フランスのソーヴィニヨンブランでも滅多にないほどの大量の)…、という感じがします。「エポックメーキングな発見は同時多発的に起きる」とはよく言いますが、まさにその一例と言えるような気がします。それだけ多くのワインに関わる皆さんが真剣に取り組んでいらっしゃったのでしょう。

そして、それがメルシャンからの依頼でボルドー第二大学の富永さんの分析につながっていくわけですが、そこにはメルシャンの味付興成さんと富永さんのフランスでの深い繋がりがあったり、そういう人間関係の繋がりが大きな意味を持つことになるんですね。

人間関係というと、富永さんと指揮者の佐渡裕さんのつながりも非常に興味深いものでした。中でも、佐渡さんの「ワインと音楽の共通する摂理」というのはなるほどと思いました。詳しくはぜひ本書をご覧ください。異国において才能に秀でた日本人同士が強固に結びつく例というのはよく聞きますが、こういう風につながっていくのか…と、以前少しだけ海外で生活したことのあるKAY2も頷きながら読んでいました。KAY2はなぁんにも才能はないのですが…。(笑)

それにしても、そんな、研究にすべてを賭けるあまり、きっと家庭にはあまり時間を注げなかったかもしれない夫を暖かく見守り続けた奥さんは凄い…と、そこにも大いに感心してしまうKAYSでした。

ところで、本書の最後に富永さんが書かれた「きいろの香り」からの抜粋が掲載されています。その中に、5MHとともにソーヴィニヨンブランのワインに含まれる「メトキシピラジン」という物質の香りについて書かれていました。なかなか覚えにくい名前ですねぇ。漢字にしてみたら覚えやすいかなぁ…と「目溶し平人」というアマゾンの半魚人のような動物を想像してみたんですが、かえって覚えにくいですかねぇ…。(笑)グリーンノートとも呼ばれる独特の香りをもたらすものだそうです。

そのメトキシピラジン、フランスの醸造家は嫌がる香りなのだそうですが、ニュージーランドやオーストラリア、南アフリカでは「これこそソーヴィニヨンブラン」という感じで好んでワインの香りとして際立たせる傾向にあったそうです。もっとも近年は少し違ってきているそうですが。

この香り、実はそら豆や枝豆を茹でたときの香りに近いとか。そこで富永さんは茹でたそら豆にニュージーランドのソーヴィニヨンブランを合わせてみては?と書かれています。

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そこで、やっちゃいました。千葉産の枝豆を購入。そしてニュージーランドのソーヴィニヨンブランをスーパーで買ってきます。そして合わせてみると…。

結果…、本当でした!枝豆のふくよかな味わいがさらに増します!!香りのマジック、本当ですね。さらに、ちょいと横道にそれて試してみたキュウリ竹輪にもよく合いますねぇ!

富永博士からの贈り物を味わった一時でした。

良書です。日本のワイン好きなら、いや、ワイン好きの方であれば誰にでもお勧めします。





KAYSのホームページはこちら http://kays1998.web.fc2.com/


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